薬剤師の人数が30万人突破。飽和状態で生き残る3つの条件。

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2016年に薬剤師数が30万人を突破。ちなみに医師数が30万人を超えたのは2012年のことでした。この60年間をグラフにすると見えないものが見えてきます。ホラーの話ではありません。薬剤師の仕事の話です。ちなみにホラーは見れますが、リングとか貞子より007とかMIBのようなSFアクションが好きです。ちょっと世代を感じるラインナップ(笑)

 

薬剤師数の推移

最新版の医師・歯科医師・薬剤師統計から薬剤師数をグラフに落とし込んでみました。縦軸が薬剤師数です。薬局勤務と病院勤務、そしてその他の3つにわけてグラフを作成。これを見て何がわかりますか?

 

このグラフができたとき、結構面白いなと感じました。顕著に「薬局」の勤務者が伸び続けています。病院やその他の数字はあまり変わらないですよね。これを職業ごとのグラフに落とし込むとこうなります。

 

病院勤務者が1996年ごろからほとんど変わっていないのに対し、薬局勤務者は今なお増え続けています。このグラフが急に止まるとは考えづらい。もうしばらく伸び続けるのでしょう。(それにしても綺麗に伸びてるなー。れぱのんの髪の毛もあれぐらい順調に増え続ければいいのに…%’#*@%$)

 

職業割合の推移

その他と書かれていた部分を含めてもう少し細かく見ていきましょう。1975年と2018年の職業割合を円グラフで比較してみます。

全体の病院割合は変わらず、医薬品関係の割合は減少しています。衛生行政と大学の従事者はやや減少しており薬局の勤務者が32%から58%へと大きく数字を伸ばしました。というか、1975年に薬局ってそんなにあったの?!という驚き。

 

医師数との比較

2012年に30万人を突破した医師数と薬剤師数を比較してみました。グラフにするとこんな感じ。

1990年には6万人以上の差がありました。しかしここ数年でかなり差がなくなっており2018年には1.5万人差まで迫っています。数が多ければいいというものではありませんが、やはり民主主義の政治を考えれば数も大切。そういう意味ではもっと存在感を出していきたいですね!

 

ちょっと怖い数字の話

さきほど職業ごとの割合を見ましたがさらに細かく数字を並べると「ん?」という数字を発見。(2018年の医師・歯科医師・薬剤師統計より)

総数311289人100%
薬局の従事者180415人57.9%
医療施設の従事者59956人19.2%
介護保険施設の従事者832人0.2%
大学の従事者5263人1.7%
医薬品関係企業の従事者41303人12.9%
衛生行政機関又は保健衛生施設の従事者6661人2.1%
その他の業務の従事者6517人2.1%
無職の者10339人3.3%
不詳3人0.000963%

無職の他に不詳が3人…?

300人ぐらいいればなんとも思わなかったかもしれませんが、たったの3人だけ不明…?たったの10のマイナス3乗%だけ不明ってなに?99.999036%の人はわかってるのに3人だけわからないって。。。行方不明とかじゃなければいいのですが。ちなみにこの「不詳」という項目は1955年からあるようですが、実際に数字が入り始めたのは2000年から。

なんてことはない、ちょっとだけ寒気がした話でした。

 

薬局数と薬局薬剤師数の推移

薬局勤務者が増えているということは薬局数も増えてるんでしょ?と思ったそこのあなた!もちろんその通りです。さきほどの60年分ではなく30年分のデータですが、このように推移しています。

 

薬局数も薬剤師数と同じく順調に増えていますね…???いいえ、そんなことはありません。実は薬局数と薬局勤務者数の増え方は全然違います!

 

 

明らかに薬局よりも薬局勤務薬剤師の方が増えとる!その分院外処方が増えてきたのでしょう。高齢化に伴い処方箋の発行枚数も増えているのでしょう。それにしてもすごい!

こんなことならアンサングシンデレラの薬局バージョンも必要ではないのか?!次のドラマ化は「薬屋のひとりごと」「異世界薬局」というよりは「薬もすぎれば毒となる」ですかね。ちなみに、「薬もすぎれば毒となる」は電車通勤、寝る前に10分読書をするのにとてもオススメ!薬剤師なら「くすっ」と笑える薬品名が記載されていたり。作者は薬剤師でないのによくこんな小説が書けるなぁと感心してしまう。読んだ人の感想はかなり好評なので個人的にもオススメです!

マンガより小説派の人にはオススメ!➡薬もすぎれば毒となる

かわいい女の子薬師のマンガ➡薬屋のひとりごと

かわいい男の子薬剤師のマンガ➡異世界薬局

 

今後の薬剤師業界

ニュースを見ていると6万件に迫る薬局はコンビニ数よりも多くそんなに必要なのか?と政府の目の敵にされているらしい。DIAMONDonlineやM&A総合研究所でも「3万件程度まで減らす可能性」について言及しており、他人ごとでは終わらない。生き残るためのお話をしていきます!

 

現在順調に薬局数と薬局勤務薬剤師が増えているが少しずつこの流れは変わるでしょう。まず、薬局業界では寡占化が進む。要は大手が中小薬局をどんどんM&Aで合併していく。もしくは中小薬局は潰れていく。大手に厳しい調剤報酬改定とは言え、結局は体力的に潰れるのは中小薬局。そうなると現場の薬剤師はどうなるか…? 

 

必要な薬剤師数の減少

今後は薬局数が微増から微減に転じ、能力の低い薬剤師は薬局で必要とされなくなる。さらに0402通知により薬剤師のテクニシャン行為は非薬剤師の業務へと移行していく。そうなると必要な薬剤師数は全体として減少していく。

すでにある大手調剤薬局では中途採用を止めて「新卒」のみで採用を進めています。「薬局転職=楽勝」な時代はそろそろ終わろうとしている…。

 

生き残る薬剤師の3条件

もちろん薬剤師は今後も必要だと思います。ただ、格差は薬剤師内でも大きく開いていく。専門性やかかりつけ機能など国や国民が求める流れを逃さず、きちんと能力を積み上げていくことが求められる。生き残るための3条件を紹介していきます。

 

 

専門性

今後は「がん」や「HIV」などの資格を有していることが高度薬学管理機能の施設要件になるとされています。要は、優秀な人材がいる薬局は技術料が加算され稼ぎが大きくなる。もちろん経営者としてはこういった人材が欲しい。給料アップや特別待遇だって考えられる。優先して海外研修に選ばれ、指導的立場で仕事もしやすくなるだろうし、仕事のやりがいだって感じやすくなる。日本調剤は分かりやすくこの路線。

 

マネジメント能力

2つ目の生き残る条件はマネジメント能力の有無。専門性に多少欠けたとしても少ない人員でやりくりしながらも高い社員満足を達成することができれば経営面ではプラスな人材となります。店舗の数字を改善するマネジメント、社員同士の満足度を高めるマネジメント、後輩育成をするマネジメント。

こういった人材は薬局業界ではまだまだ不足していると感じます。専門性ではなくマネジメントや経営側に進むのも薬剤師として生き残る手段の一つだと言えます。

 

かかりつけ機能

3つ目の条件はかかりつけです。専門性がトップクラスである必要はありません。患者さんの不安に寄り添い、ひとつずつ問題を解決してあげる。それを続けることで「あそこの薬剤師さんに相談してみれば?」と言われるようになる。もちろんかかつけの同意書枚数も大事だけど、本当に大事なのは処方箋がなくても頼られるぐらい必要とされること。

こうなれば他院の処方箋を持ってきてくれたり、家族や友人の処方箋が集まり売り上げもアップする。同じ分母での奪い合いになるので患者様=神様みたいな構図になる過剰サービスとは区切っておきたいところです。

 

生き残れない薬剤師

専門性がない。マネジメント能力に乏しい。患者さんからも必要とされない。必要な薬剤師数が減れば、もはや生き残れません!!いまから数年後に30代、40代になる薬剤師だって同じ。毎年、若くて素直で安月給な新卒が入社してくるわけですよ。自己研鑽してない薬剤師なんて要らないんですよ。

特にいま20代で知識も経験もないくせ努力もできていない人は覚悟した方がいい。30代、40代になったときにいざ転職しようと思っても足下を見られて大幅な給与アップはできなくなる。(逆に、「がん」「HIV」の資格を持っていれば交渉し放題!)

 

行動すべきこと

薬局薬剤師にとって寒い時代がやってくる前に、準備は必要。若手薬剤師と中堅・ベテラン薬剤師が準備できることとは…?

 

若手薬剤師がすべきこと

勉強。勉強。勉強。最低限の専門知識の勉強。マネジメント、かかりつけいずれの道に進むとしても最低限の勉強は必要。これがなければ薬剤師とは呼べません。

先日本屋で若手薬剤師でも効率よく学べる本がないかを探しに行きました。元人事担当兼研修担当だったれぱのんが良いと感じたのは「薬の使い分け100」です。

全般的な内容が記載されており、現場ですぐに生かせる内容が多い!総合病院前勤務であれば勉強すればすぐに効果を実感できます。基礎的な内容から記載されているため読みやすく、デザインを含めて非常に良い!

1年間でこの内容を網羅できれば、数年間は必要とされる薬剤師として働くことができます。気を付けるポイントは「読んでわかる」ではなく「患者さんに説明ができる」レベルまで上げること。4000円で数年間生きていける知識が習得できるのであればめちゃくちゃ安い投資です。(学生時代の学費は毎年200万ほどですか?4000円なんで2時間働けばチャラです。)

 

できれば検査値についても学んでほしい。

この本が優秀なのは毎回症例が記載されており、それをどう読み解くかという演習ができるところ。この本を1冊マスターするだけで10年は生き残れる薬剤師になります。アンサングシンデレラの葵薬剤師(石原さとみ)のように。

薬局薬剤師だからこそ、病院薬剤師に負けない検査値の読み取りをしてほしい。ちなみに、この本をマスターしておくと専門認定取得への大きな一歩となります。なぜなら、医師に処方提案ができるようになるから。自信を持ってオススメです!(症例報告では薬剤師が介入した症例を報告する必要があります。そのときに検査値の知識は絶対に必要なんです!!)

 

若手薬剤師であればまずこの2冊をマスターする。その後「専門性」「マネジメント」「かかりつけ」の中から進む道を探したり、新たな道を切り開けばよい。本屋で40~50冊手に取って教育担当者選んだので自信を持ってオススメします。

 

中堅・ベテラン薬剤師がすべきこと

勉強の継続は言うまでもありません。中堅・ベテラン薬剤師に伝えておきたいことは「転職のタイミングを誤るな」ということです。今は時給4000円以上、年収600万円以上の案件が比較的誰にでも紹介されています。ただ、今後の保証はありません。

年収アップの近道は転職をしてベースアップすることです。毎年5000円~10000円の昇給は年収50万円上げるのに4~8年必要となります。しかし、転職をすれ1~2ヶ月で達成可能。生涯賃金が1000万円単位で変わってきます。

職場の雰囲気にイマイチ活気がなく、毎日を漠然と繰返しているだけの同僚といるだけでいいんですか?それとも、一歩を踏み出して毎年海外旅行に行ける年収を勝ち取りますか?

 

1つだけ間違えてはいけないポイント

転職を考えている人に1つだけ忠告です。転職サイトには地域・職種で得意/不得意があります。北海道や千葉・神奈川で薬局志望なのにマイナビだけに登録してはいけません。青森や島根でドラッグストアに就職したいのにリクナビに登録しているようでは時間の無駄です。というか年収ダウンしないかが心配です。

県や職種によって転職サイトには得意/不得意があります。ここで間違うと痛い目にあいます。思い切り足の小指を机の角にぶつけたぐらいの痛みが続きます。サイアクです。ですから、自分の都道府県×職種に合った転職サイトを選ぶようにしてください。

こちらに47都道府県×職種別のおすすめ転職サイトを用意したのでご覧ください。

北海道青森岩手宮城秋田
山形福島茨城栃木群馬
埼玉千葉東京神奈川新潟
富山石川福井山梨長野
岐阜静岡愛知三重滋賀
京都大阪兵庫奈良和歌山
鳥取島根岡山広島山口
徳島香川愛媛高知福岡
佐賀長崎熊本大分宮崎
鹿児島 沖縄    

 

まとめ

  • 薬剤師がついに30万人を超えた
  • 薬局勤務者の人数が大幅に増加中
  • 薬局数も増えているがそれ以上に薬局勤務者が増えている
  • 薬局数が減らされていく可能性がある
  • 自己研鑽していない薬剤師は生き残れなくなる
  • 生き残るためには「専門性」「マネジメント」「かかりつけ」がキーワード
  • 若手薬剤師は「薬の比較と使い分け100」と「検査値×処方箋の読み方」で勉強する
  • 転職を考えている中堅・ベテラン薬剤師は早めに行動する
  • 転職サイトに登録するときは都道府県別×職種別を考慮して慎重に選ぶ

 

これから薬剤師として生き残っていくためには明確な行動が必要です。5年後、10年後に後悔したくなければ価値を高めるしかありません。「今月も家計簿厳しいな…」と思いたくなければ即行動。「来週ホテルのランチに行かない?」「有給使って海外旅行してきます」って言いたければ即行動。今努力をすれば人生イージーモード。自分を苦しめてるのは自分。将来の自分と家族を救えるのも自分。

努力や自己研鑽って自信にもなりますからね。一緒に頑張りましょう!BYれぱのん。

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